居酒屋といえば、みんなで気軽に楽しめる場所である。駅前の雑居ビルにチェーン店がひしめいており、それぞれの個性を出そうとしている。しかしながら、居酒屋はどこも似たり寄ったりの印象を持ってしまうことが多い。この不景気時、あまり内装にかけられないというのが原因だろう。価格勝負になってしまうことがある。が、そんななかでも特徴のある居酒屋が存在し、その風変わりさで集客を見込もうとしている店もあるのも事実である。わたしが行った居酒屋のなかで一番風変わりな居酒屋は、牢獄のなかでお酒を飲むという趣向のものだった。まるで監禁されているような感覚に陥りそうになるが、それが店の狙いでもある。働いているスタッフは看守のような格好をしており、鞭やヌンチャクなど、攻撃的な武器を持ち歩いている。もちろん、はりぼてには間違いないのだが、かなり威圧感があったりする。そのお店の独房ぶりはかなり徹底しており、手元も薄暗くて見えないほどであった。そして、特筆すべき点はイベントである。突然、店内で警報が鳴り響き、脱獄囚を捕らえよという設定でイベントが始まるのだが、サイレンや照明の量が半端なかったりする。スタッフが鞭を振りかざし、それぞれの客席に乱入してきて、脱獄囚を探すという内容のものである。居酒屋で飲食を楽しむというよりも、まるで何かのショーを見ているようだった。この風変わりな居酒屋以上のものは、未だに出会ったことがない。いろんな意味で思い出深い居酒屋だった。